Copland

休日に何をやるわけでもなくインターネットを彷徨っていると、「そういえば世に出なかったCoplandに関する情報はないだろうか」と思い始めて、Wikipediaにもそれなりに記述はあるが、MacWorldという雑誌の特集を見つけることができてちょっと読んでみた。号としては1995年7月で、MicrosoftWindows95を強力に宣伝している中、ある意味Appleが焦って情報を先出しした、というものらしい。
素人ながら思ったのが、Coplandはちょっとやろうとしたことが難しすぎて、それで結局失敗したのかな、ということ。この数十年を振り返ってみると、結局ユーザ数が莫大にいて、成功しているOSは非常に乱暴に言うとWindowsNTか、UNIX/Linuxしかない(UNIXLinuxを同じにしてよいか迷うけれど)。現在のWindowsWindowsNT系列で、macOSはベースがNetBSDiOSはその派生版、AndroidLinuxがベース。
そしてどのOSも未だに多くのバグを抱えてしょっちゅうセキュリティパッチを当てている。安定して動くマルチタスクOSを作るのは非常に難しい、ということなのだと思う。それをCoplandではMacOSをベースとしつつ新規で作ろうとした。なので失敗した。そういうあたりなのではないか、と思ったりして。いや、詳しいことは分からないけれど。

あと、Gershwinというのも出てきて、当時はよく分からなかったのだけれど、
・Coplandは従来のMacOSと互換をとるために完全なマルチタスクOSとはしないもの
・Gershwinで現代的な意味での完全なマルチタスクOSとする
という予定であったもののよう。

これも専門家が見れば違うのかも知れないが、Microsoftの場合、GUI OSはWindows3.11 for Workgroupsでやっと動き出し、Windows95で爆発的に普及。つまり、95まではWindows上で動く本格的なプログラムがそれほどなかった、というかまだエコシステムが回り始めたあたりであった。またWindows95は32bitアプリ同士であればほぼ完全なマルチタスクOSとして機能することができた。そのため、新たに開発されたり、移植されたりしたアプリはマルチタスク前提の比較的クリーンなものとなった(実際、互換モードを介してではあるけれど、比較的最近までWindows95向けに開発されたプログラムでWindows10で動かせるものがあった)。さらにWindowsNT系、という完全マルチタスクOSが別ラインで開発されており、これがWindowsXPという形でコンシューマ製品として出てきて今に至っている。
でもMicrosoftの膨大なエンジニアリングリソースをもってしても、すでに持っているWindowsNT系のOSをコンシューマレベルに仕立て直すのにWindows95発売から7年間かかっているわけで(Windows2000でも十分コンシューマレベルのlook and feelにはなっていたと思うけれど)、OSの開発は物量的にも本当に難しいのだろう・・・。

 

で、Coplandのその後となると、自社開発できないので社外製品に目を向けたものの一つがBeOS、もう一つがNetBSDベースのNeXTSTEP。最終的には後者が採用されて、現在のmacOSに至る。

 

懐古趣味全開が楽しい。