パソコン世界の嵐―IBM vs.マイクロソフトvs. NEC(脇 英世)

本棚を漁っていたら出てきた本。1993年5月に出た本で、日本でコンパックショックだの、まだOS/2がなんとか頑張っていた話だのが載っている。今となってはなんのことだか分からないネットワークOSの熾烈な競争の話もある。
自分がいつごろ買ったのかは覚えていないが、たぶん当時は今ほど理解できなかったと思う。
というのは著者は技術的なことは正確に理解している人で、それが故に結構難しいことも書いているのだ。
なので、これが講談社文庫の形で出ていること自体が今では不思議な感じ。
この後もコンピューティングの世界は紆余曲折があり、IBMはパソコン事業を手放したし、MacOSだってこの当時とは中身が全く違ったものになっている。Windowsが覇権をとったことはここで予測したとおり。
それにしても今やエンドユーザのコンピューティング環境と言えばスマホだなんてこの当時は誰も微塵も考えていなかっただろう。
もう一つ面白いのが、1991年に産声を上げたLinuxについては全く言及がないこと。
ま、この時点ではまだまだそんなもの。
今ではネットインフラでは不可欠になったし、まだRISC V用の安定したLinuxはないようだけれど、どんなCPUアーキテクチャであれ、とにかくLinuxさえ動けばいわゆるPCとして使うことができるようになるのは素晴らしい。

 

そういえば、題名にあるNECがいまやパソコンの世界ではほとんど存在感を持たないのも隔世の感。というより中身はLenovoで、いわゆるNECのパソコンなるものは存在しないのでは?とも思っているのだけれど、本当のところはどうなのだろう。