そもそもGIGAスクールが対象としている教育領域は専門でも直接かかわっているわけでもないのだけれど、最近になって「現場ではちっとも活用できておらず失敗だ」みたいなことを言っている、以前は盛んに推進していた一部メディアを見かける。
ま、でもそうでしょう。実際自分であれこれ学習してみるとわかるのだけれど、本当にわからないところから理解できるようになるのにコンピュータは本質的なところでは役に立たない。
例えば語学をタブレットやChromebookを使ったからと言ってよりよく学習できるだろうか?実際に自分でやってみればわかるけれど、そんなことはない。それよりは、紙に書いてスペルを覚え、繰り返し聞いて耳で覚え、できるだけたくさん話すようにする。このどの過程においてもPCを使うことで効率化される部分はない。
他に数学の学習でもそうだけれど、微分や積分がPCを使うとより簡単に理解できるようになるか?そんなわけはない。結局最初はうんうん言いながらなんとか理解にこぎつけ、次は紙に書いて繰り返し計算力を磨き、たくさん問題を解いて数学力を向上させるしかない。
もちろん、PC/タブレット類が何の役にも立たないわけではない。ある程度学習が進んでいるときに生の情報に英語で触れることは興味もわきやすいし、適切な補助教材を作れば(ただし、ここは相当労力が必要)学力向上につなげることも可能であろう。社会科であればWikipediaをはじめとした資料はふんだんにあるので調べ物には有用だろう。という感じであくまでも資料集だったり、本来の学習の補完的な教材として用いるにはよいのだろうけれど、しょせんその程度だし、それよりは機材の管理(セキュリティ、不要なサイトの閲覧、いじめ問題など諸々全て)をする手間が大幅に増えて却って全体としてはマイナスな気がする。
せめて義務教育分野についてはタブレットやPCで学習可能な教材を国、もしくは何らかの公的団体が作成して一斉に配布できるようにすればコストも下がるし、全国均一のレベルの教材を提供できる…のだけれど、そうすると既得利権たる教科書会社が黙っていないだろうし…。とにかく全体として設計できる人はいないものだろうか。
結局一時的にPC、タブレット、Chromebookの売り上げを伸ばす効果しかなかったのではないだろうか、GIGAスクール。