医学・薬学・生命科学を学ぶ人のための多変量解析入門(杉本 典夫)

これはかなり前に買って積んでおいたものを久しぶりに読み返した。

で、今ならこれはかなり良書と分かる。というのは、多変量解析って計算的にはどうなっているんだっけ?と悩んであれこれ数式をいじったことがあるため。逆に、そうした問題意識をもったことがないままこの本を読んでも一体何にこだわっているのか分からないだろう。

よく、変数を足してそれまで有意であった偏回帰係数が有意でなくなると、追加した因子によって「調整された」という言い方がされるが、決してそれほど単純に解釈できるものではない、ということもちゃんと書いてある。

他に、相関係数(に限らないが)が有意になることは相関係数自体の大きさや分布の広がり、対象としている現象の科学的意味を考慮しないと、無意味であると言うことをはっきり述べているのもよい。ほとんど無相関に見える分布を出しながら、nが大きいために相関係数の有意検定でp<0.05となるのを「〜のように有意な相関が認められた」といけしゃあしゃあと発表する人たちのなんと多いことか、と常々苦々しく思っているので。

「有意症患者」もいいね。