これは割引ではあったものの自腹で購入したもの。
これに連なる一連の作品はみな、人類はリアルを離れてヴァーチャルに移っていく、ということを盛んに主張するのだけれど、個人的にはありえない、と感じる。
まず、計算機上のヴァーチャルは当然計算機が正常動作することを前提にしているのだけれど、計算機は稼働部品が少ない割には信頼性が著しく低い。
理解されるかどうかわからないけれど、20年前のCPUがフルに稼働していていたとして、今後20年も稼働すると思えるだろうか。2003年といえばPentiumMが発売されたころ。アーキテクチュア的にも耐久性的にも20年も持つとは到底思えない。ましてやWWシリーズで語られる100年とか200年のスパンで持ちこたえられるITインフラなど何か物性的な革命でも起こらない限り、半永続的な存在として仮定することすらできない。
しかも物語で繰り返して出てくるセキュリティ対策は永遠の鼬ごっこなわけで、これがハード、ソフトともに課題であり続けることを考えると炭素生命体に比較して可塑性が著しく低いケイ素情報体系が何らかの優位性を持ち得るとは考えづらい。すべてが完全にソフトの話であればあるいは可能かもしれないけれど、炭素生命体はハード・ソフト込みで進化できるのではたして相克できるだろうか。